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スーツ服地の研究(御幸毛織 インタナ)

御幸毛織 INTANA
 
冬物のスーツとして,フランネル(以下,フラノ)のスリーピースのスーツを,ある程度揃えている。暖かくて肌触りが柔らかいだけでなく,見た人にも暖かさを印象づける効果があるためである。これまでフラノは,英国製のざっくりとした,乾いた質感の服地のものを好んで着てきた。
 
□フラノとは
フラノは,平織りや綾織りの服地を縮絨(しゅくじゅう;洗うことで毛がからまり縮むこと)して起毛加工(表面を毛羽立てて,毛の長さを揃える加工)したものである。フエルトのように表面が起毛して,肌触りが柔らかいため,冬物服地の定番の一つになっている。
 
フラノには,梳毛(そもう;簡単にいって5cm以上の長い繊維を引っ張って伸ばして均一にした上で,ひねって作った糸)で織った服地と,紡毛(ぼうもう;簡単にいって不揃いな繊維を重ねて絡めた上で,ひねって作った糸)で織った服地の両方がある。また,フラノ以上に強い縮絨で製造した厚手のものをメルトンといい,コートの服地で使われている。
 
御幸毛織 INTANA
 
フラノでは,同じ色で濃淡に染めた繊維を混ぜ合わせた糸を使うため,服地の表面に霜降りのような地模様がある。そのためフラノに合う色は,何と言ってもグレーであり,濃いチャコールグレー,白っぽいライトグレー,その中間のミディアムグレーと,色合いも多彩に揃っている。またストライプやチェックなどの柄は,起毛でぼやけて見えるので,ソフトな印象となる。
 
私の好みはやや明るめのミディアムグレーで,今回は霜降り感が前に出る無地の服地で,スリーピースを作ることにした。行きつけのテーラーである銀座山形屋で,いろいろなバンチ(服地見本)をめくって探したが,御幸(ミユキ)毛織のINTANA(インタナ)で,スーツ用のミディアムグレーのフラノにした。
 
御幸毛織 INTANA
 
□御幸毛織のインタナ
冬のコートは,雨の日以外はチェスターフィールドコート,雨の日はトレンチコートを着ている。チェスターフィールドコートでも,御幸毛織のインタナで作ったものがある。これまでにコート用服地をいろいろと比較したが,発色と質感がよく,また何年着ても型崩れしないからである。そのため,インタナのコート用服地の黒以外のすべての色で,チェスターフィールドコートを作ったくらいである。
 
御幸毛織のWebサイトに記載がなかったので,市販の服地からの推測になるが,インタナはフランネル服地のコレクション名のようである。ウール70%カシミア30%のコート用,同じくウール70%カシミア30%のジャケット用,ウール100%のスーツ用がある。スーツ用のバンチ(服地見本)には,midwinter(真冬,冬至)の記載がある。
 
できあがったスーツを着てみた。出来上がる前までは,国産なので軽くて柔らかいと思っていた。しかし御幸毛織の服地ならではの,がっしりとした剛性がある感触と,それと相反するしなやかさを感じる。これには驚き,インタナにも御幸毛織の良さが出ていることを実感した。
 
コート用やジャケット用の服地と異なり,耐久性を持たせたためかウール100%だが,コート用やジャケット用と同じくらい,艶がある。余談だが,礼服用の黒い服地も,発色の良さで御幸毛織のものが好みである。
 
御幸毛織 INTANA
 

 
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