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スーツ服地の研究(テイラー&ロッヂ サマーウーステッド2)


 
スーツの服地(生地)の色合いや柄は,他の製品と同様に,生産国の風土や民族性が反映されている。あくまでも私の印象であるが,日本製の服地は,温暖湿潤気候と生真面目な国民性を反映して,潤いのある色合いで,穏やかな柄が多い。
 
フランスの服地は,独特の中性的な色合いや,粋な柄が多い。イタリアは,風光明媚な風土と色気のある民族性を感じさせる,艶のある色合いや華やかな柄が多い。これに対してイギリスは,乾いた風土を感じさせる色合いや,素朴な柄が多い。
 
私がスーツを注文するために,バンチ(服地見本)をめくっていて,服地見本の大半が気に入るのが,テイラー&ロッヂ社のものである。イギリスの他のミル(服地メーカー)も品質が良く,欲しいと思う服地も中にはあるが,大半まではいかない。テイラー&ロッヂは,色合いや柄に,イギリスの土着性をそれほど感じさせないからである。
 
テイラー&ロッヂ以外では,イタリアのエルメネジルド・ゼニア社の服地も,大半が気に入る。これも,イタリアの土着性をそれほど感じさせない。同じイタリアのロロ・ピアーナ社の服地も土着性をあまり感じさせないが,品が良くて高貴な雰囲気が強く,自分はこれが似合うほど高貴ではないな,と感じさせる。
 
今回は,テイラー&ロッヂで春夏物を作ることにした。以前作ったサマーウーステッドとほぼ同じ2cm幅のストライプで,今度のはミッドナイトブルーである。ちなみに以前作ったものは,Navyの表記で,青色に近いブライトネイビーであった。なお,以前のは1%カシミアが入っていたが,今回のは100%ウールである。
 

 
テイラー&ロッヂはイギリスのミル(服地メーカー)で,ウエストヨークシャー州のハダースフィールドという地域にある。なお,このサイトでは同社を,テイラー&ロッヂと表記する。
 
シルエットはこれまで通り,ロープドショルダー,イングリッシュドレープ(胸を出してウエストを絞ったライン),カッタウェイフロントを特徴とするブリティッシュを選択した。袖はボタンをはずして袖口が開く本切羽であるが,ボタンをはずすことはしない。イタリア人は,袖のボタンを一つはずして洒落っ気をだすが,イギリス人ははずすことはしない。私には,イギリス人の気質が合うようである。
 
スーツの仕立ては,20年来の付き合いがある,銀座山形屋である。ここ数年は,上着の丈が短く,パンツは幅が狭めのものが流行である。銀座山形屋でも,着心地や足さばきに違和感がない範囲で,さりげなく流行を取り入れることを提案している。いちいち流行に合わせる気はないが,お客さんの印象もあるので,あまりはずれたスタイルになるのもまずい。その点,銀座山形屋の程よい提案がちょうどいい。
 

 
できあがったスーツを着てみた。従来から銀座山形屋で仕立てたスーツは,ジャケットとパンツのラインがつながっているように体にフィットする。今回のはパンツの幅がやや狭めで,最近流行の美脚パンツのラインになっている。テイラー&ロッヂの服地は,張りとコシがあって,仕立て映えするのが特徴だが,ダークカラーで艶がある。また,ストライプも交互に色合いが微妙に違う。遠くから見た印象も,近くから見た印象も,十分計算されていることを感じさせる。
 

 
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