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スーツ服地の研究(テイラー&ロッヂ 冬物ストライプ)


 
このところ作るスーツは,春夏物も秋冬物も,ドーメルの服地(生地)ばかりであった。久しぶりに他のメーカーの服地でスーツを作りたくなり,秋冬物を作る時期になったので,行きつけのテーラーである銀座山形屋に行った。
 
なじみの店員さんから,最近の服地について説明を受けた。今シーズンはチェック柄が多いこと,ドーメルではiconik(アイコニック)などの新シリーズの服地が出ていること,などである。バンチ(服地見本)を見ていて,テイラー&ロッヂで,マルチストライプの服地に目がとまった。
 
様々な細い地模様が並んでいるマルチストライプは,風格が出る反面,いわゆる「ジジ臭く」なりやすい。ところがテイラー&ロッヂのこれは,ブラウン系ではなくブルーグレー系で,ストライプの種類を絞ってシャープな印象があり,しかもドーメルのアマデウス並みに艶があって,「ジジ臭く」ない。このセンスに感心したため,今回はこの服地で作ることにした。
 
テイラー&ロッヂは,自社ブランドで服地を発売しているが,ダンヒルのようなファッションブランドや,スキャバルなどのマーチャント(服地商社)にも提供している。これらで採用されているということには,品質が良いだけでなく,色柄のセンスの評価もあると思う。
 

 
テイラー&ロッヂを一通り説明すると,1883年創業のイギリスのミル(服地メーカー)で,ウエストヨークシャー州のハダースフィールドという,紡績業が盛んな地域にある。現在は大手服地製造グループのバルマー&ラムグループの傘下となり,名門ミルとして高品質な服地の製造を続けている。
 
なお,このサイトでは同社を,テイラー&ロッヂと表記する。
 
シルエットはこれまで通り,肩先が盛り上がったロープドショルダー,イングリッシュドレープ(胸を出してウエストを絞ったライン),上着の前裾を大きく切り落としたカッタウェイフロント,を特徴とするブリティッシュを選択した。ちなみにパンツの裾はシングルにして,折り返すダブルにはしない。これは,雨が折り返し部分に貯まらないようにすることと,着た後にはブラシをかけるが,ダブルだとブラッシングに手間がかかるためである。
 

 
ここ10数年,ほとんど体型が変わらなかったが,ついにこの半年で4kgぐらい痩せた。そのため,オーダー時に採寸しなおしを依頼しようと思っていたが,その前に店員から,体型が変わられましたね,と採寸しなおしを提案してくれた。メジャーで計り直してもらい,どれくらい詰めるかについて,現状とつかず離れずの範囲で提案してくれた。さすがプロである。
 
今回は採寸について書いてみたい。スーツの採寸で,あまり体型に合わせすぎると,できあがったスーツが流麗なラインを描かなくなる場合がある。そのため紳士向けのファッションブランドでは,デザイナーが意図したラインが出る範囲内で体型に合わせるよう,フルオーダーではなく,あえてパターンオーダーを採用しているところがあると聞いている。
 
また,痩せてもリバウンドする場合があるので,痩せて一気にサイズを詰めると,リバウンド後に合わなくなる。たとえば,痩せて胸囲が3cm減った場合でも,2cmの変更にとどめておくことが,求められる場合がある。このように採寸では,体型とつかず離れずのさじ加減が,重要ではないかと思う。
 
スーツをオーダーメイドで作るテーラーでは,縫製や仕立てなどの製造技術とともに,店員の採寸に関する判断というか見識で,着心地やシルエットが変わってくる。テーラー選びでは,販売価格帯や,揃えている服地や,スーツのスタイル(ブリティッシュやイタリアンなど)のラインナップが必要な要素だが,この見識も重要であると思っている。
 
追記になるが,痩せたため,これまでに作ったスーツをリフォームすることにした。スーツを作った店でリフォームしてもらうのが,スーツの作りを知っているので適していると判断し,銀座山形屋に持ち込んだ。
 
ジャケットとベストの脇を詰めることと,パンツの腹回りを詰めることを伝えたが,店の人からパンツの腿の部分も詰めることを提案され,提案通りにリフォームするよう依頼した。できあがったのを着てみたら,スーツ全体のラインが流麗な線を描いたまま,膝から上の部分がシェイプされてすっきりした。
 
つまり,テーパード(下に向かって細くなること)していない点は違うものの,はやりの「美脚パンツ」の要素が織り込まれた。また,リフォーム料金も相場なみであった。
 

 

 
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