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自動車(じどうしゃ)
電車より道路の便がよいところに住んでいるため,自動車を使うことが多い。私の車選びでは,セダンとかワゴンといった形式とは別に評価要素がある。乗っていてリラックスしていく車か,感覚が研ぎ澄まされていく車か,である。
静かで乗り心地が柔らかく,やすらぎのあるインテリアを求めた車より,エンジンや路面の状況が把握できて,神経がクールダウンするようなインテリアを採用した車の方が,性に合っている。個人差があるだろうが,そういう車の方が安全につながると信じている。私がそれを実感するのが,雨の日に阪神高速道路を走ったときの感触である。日本道路公団に比べて阪神高速の路面には,幅のある鉄のつなぎ目が多い。雨の日にそこを通過した一瞬,タイヤが滑る。その滑る感触が,少しひやっとするほど伝わってくるのが,私にとっての良い車である。
自動車に乗ってしばらくの間は,各部の挙動に神経を集中する。エンジンの吹き上がり,ハンドルを切ったときのタイヤのよじれ,わずかな段差を乗り越えた際のショックのいなし具合,などを最初の20〜30分は味わうようにしている。それに飽きてからオーディオのスイッチを入れ,忙しさにかまけて放っておいた判断事項に,考えを巡らすようにしている。
運転していない時は,もし事故を起こしたら,という不安がつきまとう。相手と自分の人生を狂わせてはならないため運転も慎重で,特に横からの飛び出しに注意を払うようにしている。しかしその想いが,反射神経を刺激して判断能力を高めている。もし自動車に限らず,事故に会うことが全くない社会が来たら,人間の精神が萎えてしまうのではないかと想像する。死と背中合わせ,そして人生がかかっているという真剣勝負にも通じる自覚が,人間の精神を高めると思うからだ。
ところで車のエンジン形式では,6気筒のフィーリングが好きである。4気筒にはないスムーズさがあり,かといって8気筒のフィールは分不相応に感じる。6気筒の中でも直列6気筒が,振動などへのバランスが完全にとれているため,シルキー(絹のように)スムーズと形容されるエンジンが多い。私の夢は家族用の車とは別に,シルキースムーズなエンジンサウンドとシャープな操縦感覚が楽しめるプライベートカーを持ち,休みにはぶらりと遠出することである。ただし直列6気筒エンジンは,長くて前面衝突時の衝撃吸収ゾーンが取りにくいため,世界的に搭載機種が減っているのが残念なところである。
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