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情報セキュアド 平成19年度試験 問題(午後1 問1)
問1 VPNの導入に関する次の記述を読んで,設問1〜4に答えよ。
E大学は,都市近郊にある総合大学である。7学部が四つのキャンパスに散在しており,昨年,あるビルの1フロアを借りて,期間限定のキャンパス(以下,サテライトキャンパスという)をオープンさせた。サテライトキャンパスは,講義だけでなく様々なイベントを開催するなど,広告塔的な役割を担っている。サテライトキャンパスの各部屋には,インターネット回線が設置された。
〔VPN導入対象のネットワーク構成〕
U教授の研究グループでは,今年度,2週間の予定で,サテライトキャンパスで研究成果をデモンストレーションすることになった。その期間,U教授の研究グループ専用に用意された部屋(以下,デモルームという)と,ほかのキャンパスにあるU教授の研究室(以下,U研究室という)との間に,新たにVPNを独自に導入することにした。
U研究室内のLANは,ファイアウォール兼ルータ(以下,FWRという)を経由してインターネットへ接続しており,不要なトラフィックはすべて遮断している。U研究室には,PC,Webサーバ,SSHサーバ,ファイルサーバ,メールサーバ,イメージスキャナ及びプリンタがあり,これらは大学院生のS君が管理している。SSHサーバは,インターネットからの接続も可能としている。また,FWRはDHCPサーバも兼ねており,PCをLANに接続するだけでLANを利用できるようになっている。U研究室とデモルームのネットワーク構成は,図のとおりである。FWR1はU教授の研究グループの所有であるが,FWR2は,ほかの研究グループから一時的に借りてきて,デモルームのLANを構築した。
〔VPN方式の選定〕
U教授はS君に対し,VPN方式を選定するように伝えた。特に,U教授はPCを携帯してデモルームとU研究室を行き来するので,デモルームでもU研究室のサーバ類を利用できることと,機密データを大量に扱うので,必要なセキュリティを確保できることを条件とした。S君は,既に稼働中のFWRがもつIPsec-VPN機能を含めて,導入可能な3方式を表1にまとめ,VPN導入を手伝うことになったO君と,比較・検討した。
表1 VPN方式の比較(抜粋) 比較項目 方式1 方式2 方式3 方式概要 IPsec-VPN機能を利用 SSL-VPNソフトを利用 SSHソフトを利用 VPN通信区間 ルータ間 PCとSSLサーバ間 PCとSSHサーバ間 PCユーザ認証方式 不要 公開鍵証明書を利用 公開鍵暗号又はパスワードを利用 転送対象プロトコル IP TCP SMTP,POPなどのプロトコル 個別PCの設定 省略 VPN導入の容易さ 省略
次は,VPN方式の選定に関するO君とS君の会話である。
S君たちは方式1を採用することに決め,U教授の許可を得て,設定作業に入った。
O君: 基本的なことですが,これらのVPNを用いる意義は何ですか。例えば,AESといった共通鍵暗号化方式で暗号化したファイルを転送すれば,VPNは必要ないと思います。 S君: そうとは言い切れないよ。ファイル転送の際,暗号化によって盗聴は防げるが,暗号化だけでは,[ ア ]や[ イ ]の脅威を防ぐことはできない。方式1〜3によるVPNを適切に用いれば,それらの脅威に対処できる。また,暗号鍵は接続ごとに更新することが望ましいので,そのための仕組みもこれらのVPNでは利用できる。 O君: なるほど。VPNで総合的なセキュリティを確保できるということですね。方式2を採用するというのはどうでしょうか。 S君: 方式2は,サーバ用ソフトと公開鍵証明書の管理ツールを必要とする。また,公開されて日が浅いソフトウェアなので,未知の脆(ぜい)弱性に関して不安がある。方式2より方式3の方がいいかな。 O君: しかし,方式3では転送対象プロトコルに関する問題はないですか。 S君: そうなんだ。方式3では,利用可能なアプリケーションが限定され,駄目だな。U教授の希望をかなえるためには,採用した経験はないけど方式1がいいかな。 O君: 方式2でも転送対象プロトコルの問題はないですし,設定も簡単そうですよ。 S君: 確かにそうだが,〔1〕VPN導入後,利用者の手間がかからないというメリットも大きいので,方式1にしよう。
〔FWRの概要と設定〕
FWRのIPsecの鍵管理には,事前共有鍵を利用するIKE(Internet Key Exchange)方式(以下,事前共有鍵IKE方式という),公開鍵証明書を利用するIKE方式(以下,公開鍵証明書IKE方式という),及びIKEを用いずに事前共有鍵を手動で共有する方式(以下,手動鍵管理方式という)の3方式がある。IKEのフェーズ1では,“鍵管理方式”の選択のほかに“DHグループ”及び“暗号化とハッシュのアルゴリズム”の組合せから構成される24組の暗号スイートのうちの4組を,フェーズ2における通信用に提案するように設定できる。また,フェーズ2でも同様に,IPsecプロトコル用に暗号スイートを4組設定できる。
S君は,一時的に借りたFWR2の暗号スイートに関する設定は変更せず,FWR1の設定を行った。IPsec-VPNに関する主な設定は,表2のとおりである。ただし,IPsecプロトコルとして,[ a ]とESPがあるが,今回はESPを利用する。
表2 FWR1とFWR2のIPsec-VPNに関する主な設定 FWR1 FWR2 接続先IPアドレス X.Y.Z.6 G.H.I.5 鍵管理方式 事前共有鍵IKE方式 事前共有鍵IKE方式 暗
号
ス
イ
ー
トフェーズ1 g2:3des:sha g2:des:sha g2:3des:md5 g2:des:md5 g1:des:sha g2:aes128:sha g1:des:md5 g2:aes128:md5 フェーズ2 g2:3des:sha g2:des:sha g2:3des:md5 g2:des:md5 g2:aes128:sha g2:aes128:sha g2:aes128:md5 g2:aes128:md5
O君: 事前共有鍵IKE方式を設定していますが,“IKE”とは何ですか。 S君: IPsec通信に先立ち,[ b ]と同時に[ c ]を行うプロトコルだよ。また,セッションごとに暗号鍵を生成する機能を提供している。 O君: それと,“DHグループ”とは何ですか。 S君: IKEで利用するDHという[ c ]プロトコルのパラメタの一つだよ。FWRでは2種類選べるが,2点間で同じ値にする必要がある。 O君: FWRには,[ d ]としてAES,DES,3DESの三つがあり,[ e ]としてMD5,SHA-1を利用できますよね。 S君: 実際には,それらの組合せを一つの暗号スイートとして扱う。例えば,g2:des:shaという暗号スイートは,DHグループが2,[ d ]がDES,[ e ]がSHA-1であることを表している。 O君: 暗号スイートをなぜ4組も選ぶのですか。 S君: 一方が提案した暗号スイートを,他方が受け入れないとき,ほかの暗号スイートを利用できるようにするためだよ。また,暗号スイートの利用に関して,各FWRの優先順位の提案もできるということだね。
〔VPNの稼働〕
後日,二人で各機器を設置した後,〔2〕デモルーム側のPCからU研究室のサーバへのVPN接続を試みたが,接続できなかった。表3に示す各FWRのログを調べたところ,設定ミスがあることが分かった。それ以外のルーティングを含むネットワーク上の設定は間違っていなかった。設定を修正した結果,無事,VPN接続ができた。
表3 FWR1とFWR2のIPsec-VPNに関するログ(抜粋) FWR1 日付 時刻 メッセージ 2007-09-11 18:17:04 VPN configuration saved by admin 2007-09-13 13:49:14 IKE Phase 1:Responder started negotiations 2007-09-13 13:49:14 Rejected an IKE packet on WAN from :500 to :500, since there
were no acceptable Phase 1 proposals2007-09-13 13:49:18 IKE Phase1:Discarded an initial packet 2007-09-13 13:49:22 IKE Phase1:Responder started negotiations 2007-09-13 13:49:22 Rejected an IKE packet on WAN from :500 to 500,since there
were no acceptable Phase 1 proposals2007-09-13 13:49:26 IKE Phase1:Discarded an initial packet 2007-09-13 13:49:30 IKE Phase 1:Responder started negotiations 2007-09-13 13:49:30 Rejected an IKE packet on WAN from :500 to :500,since there
were no acceptable Phase 1 proposals2007-09-13 13:49:34 IKE Phase 1:Discarded an initial packet
FWR2 日付 時刻 メッセージ 2007-09-13 13:48:42 VPN configuration saved by admin 2007-09-13 13:49:13 IKE -> Phase 1:Initiated negotiations 2007-09-13 13:50:02 IKE Phase 1:Retransmission limit,connection failure
設問1 本文中の[ a ]〜[ e ]に入れる適切な字句を解答群の中から選び,記号で答えよ。
解答群
ア AH イ DSA ウ SPI エ 暗号化アルゴリズム オ 鍵交換
カ 認証 キ ハッシュアルゴリズム ク 呼出し ケ ルーティング
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設問2 本文中の[ ア ],[ イ ]に入れる適切な字句を,それぞれ15字以内で答えよ。ただし,[ ア ]には真正性について,[ イ ]にはデータの完全性について答えよ。
設問2の正解と解説へ
設問3 本文中の下線〔2〕のVPN接続失敗の原因を踏まえて,表2中のFWRの設定をどのように修正すればよいか。45字以内で述べよ。
設問3の正解と解説へ
設問4 O君とS君の会話を踏まえ,VPNの導入について,(1),(2)に答えよ。
(1) 本文中の下線〔1〕に示した方式1のメリットを,表1に基づき,60字以内で述べよ。 (2) 事前共有鍵IKE方式を設定する運用管理上のメリットを,公開鍵証明書IKE方式及び手動鍵管理方式と比較して,それぞれ40字以内で述べよ。
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