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初級シスアド 平成12年度春期試験 問題(午後問4)


 
問4 システム開発案件の取扱いに関する次の記述を読んで,設問1〜4に答えよ。
 
 Mさんは総合商社B社のシステム企画部に所属している。B社には,食品,鉄鋼,自動車,衣料,機械などの10の事業部があり,各事業部で発生するシステム開発の要望はシステム企画部がとりまとめ,開発はシステム開発部が担当している。年度ごとに全社の経営計画に基づきシステム投資に関する予算粋が設定される。システム企画部は各事業部と調整のうえ,システム開発の優先順位を決定し,予算枠内での予算配分を行ってきた。最近の経営環境の厳しさから,システム投資への予算がカットされるとともに,経営計画との連携の必要性も一層強くなった。
 
 システム開発部は四つの課からなり,各事業部個別のシステムや全社共通のシステム開発を担当している。各課では,システムごとに数人から数十人の社員でグループを形成し,仕様のすり合わせやシステム設計を担当している。各システムの専門性が高くグループ間の社員の流動化は難しい状況にある。プログラミングやテストは,社員の管理下で外注した委託会社社員が担当している。
 システム企画部では,システム開発の優先順位の決定手順について見直すことにした。問題点の整理と解決策を考えるように指示を受けたMさんは,自分自身で各事業部を回りシステム開発に関する生の声を聞き,その結果を上司のCさんに報告した。
 

 
設問1  MさんとCさんの現状分析に関する次の記述中の[  ]に入れる適切な字句を,解答群の中から選べ。
 
Mさん 「幾つかの事業部で,“鉄鋼や自動車といった,役員が事業部長をやっている事業部ばかり優先して予算が配分されている。”という不満を聞きました。」
Cさん 「当社には,どの事業部の開発案件を優先するかの基準がないので,開発案件への予算配分は,声の大きい人の案件や早い者勝ちになりやすい傾向にあるのは確かだ。開発決定のルールを作り,まず各事業部内での優先順位を決め,それらを総合的に判断し,全社的な優先順位を決定していく手順が必要だね。これは【開発決定ルールの問題】と呼ぶことにしよう。」
Mさん 「衣料事業部では,“システムを担当しているシステム開発部のグループは,わずか数人であり,開発できる案件に限界がある。”という不満を聞きました。」
Cさん 「確かに担当するシステムによって人数にバラツキがあり,少人数のグループでは開発できる量に限界があるのも確かだ。様々なスキルを習得するための予算を計上し,[  a  ]的な人数や人員の配置を改め,[  b  ]化するようにシステム開発部長に申し入れすることにしよう。これは【開発パワーの問題】と呼ぶことにしよう。」
Mさん 「鉄鋼事業部では,“経営環境の厳しさからシステム投資予算のカットは理解できるが.もうけている事業部と毎年赤字続きの事業部を同じ土俵で判断してもらっては困る。”と厳しいことを言われました。」
Cさん 「確かに厳しい指摘だし,[  c  ]予算配分は筋が通らないのも事実だ。[  d  ]予算配分を認めるようにしよう。これは【投資/効果の問題】と呼ぶことにしよう。」
Mさん 「どの事業部からも“お互い忙しい中でシステムの仕様を共同で詰めているが,言った,言わないという低レベルでのトラブルが多い。また,開発を依頼したつもりになっていたら,仕様の詰めが甘く,まだ開発に着手できていない,と言われて困ったことがある。”と指摘されました。」
Cさん 「システム開発に限らずビジネスの場ではよくあることだよ。お互いに考えていることを[  e  ]にし,必要に応じて[  f  ]のやりとりを行うことによってトラブルが防止できる。これは【コミュニケーションの問題】と呼ぶことにしよう。」
 
a,bに関する解答群
ア 固定 イ 正規 ウ 全社 エ 組織 オ 分社 カ 流動
 
c,dに関する解答群
ア 一年度ごとの イ 暫定
ウ 戦略事業への重点 エ 全事業部一律カットでの
オ 追加 カ 複数年での
 
e,fに関する解答群
ア 案件 イ オープン ウ 金銭 エ クローズ
オ バーチャル カ 文書 キ 予算 ク リアル
 

設問1の正解例と解説へ
 
設問2  Mさんは次のような手順の解決策を考え,Cさんに提案した。Mさんの考えた手順では解決できない問題点を解答群の中から選べ。
 
手順1  新しい事業年度がスタートする1か月前に,各事業部内で優先順位を付けた開発案件の一覧表を各事業部から提出してもらう。
手順2  開発案件について開発を担当する課で工数と外注費用を見積もる。
手順3  各事業部から提出された案件ごとの効果と開発各課の見積結果から,システム企画部が開発効果を算出する。
手順4  開発効果の大きい順に案件を選択し,開発各課の開発パワーの範囲内に収まる案件を開発対象とし,全事業部長の出席によるシステム開発案件選定会議によって最終決定を行う。
手順5  各事業部と開発各課で調整し,案件ごとに開発スケジュールを確定して,開発工程表を作成し,事業部と開発各課で相互に開発スケジュールを確認する。さらに,開発工程における問題点や進捗についての定例ミーティングを行う。
手順6  開発が完了しシステムが稼働した後に,当初想定していた事業計画の達成具合を毎年度末に確認し,効果を測定する。
手順7  年度中に緊急で発生した重要な案件については,臨時でシステム開発案件選定会議を開催し,既に決定済みの案件との差換えを可能とする。
 
解答群
ア 開発決定ルールの問題 イ 開発パワーの問題
ウ 投資/効果の問題 エ コミュニケーションの問題
 

設問2の正解例と解説へ
 
設問3  Mさんは開発スケジュールの確認や,案件に関する意見や質問などの情報交換の場として社内LANに接続されているデータベースを利用することとし,各事業部からの全案件を収録する開発工程表と案件コメント表を設計した。各案件には案件番号が採番される。一つの案件に複数のコメントを記入するために,案件ごとにコメント番号が採番される。
 
開発工程表 (案件番号,事業部名,案件名,案件内容,開発承認日,
 仕様確定予定日,仕様確定実績日,開発着手予定日,
 開発着手実績日,開発完了予定日,開発完了実績日,
 利用開始予定日,利用開始実績日)
 
案件コメント表 (案件番号,コメント番号,コメント日付,コメント内容)
 
 案件の進捗に従って各事業部と開発各課は,表の各日付に次の(1)から(6)の順番で日付を入力する。
(1)  開発承認日:システム開発案件選定会議で,開発が承認された日付をシステム企画部が入力する。
(2)  各予定日:事業部と開発各課で調整した開発スケジュールをシステム企画部が入力する。
(3)  仕様確定実績日:確定した開発仕様を,開発各課に説明した日付を各事業部が入力する。
(4)  開発着手実績日:開発をスタートさせた日付を開発各課が入力する。
(5)  開発完了実績日:開発が終了した日付を開発各課が入力する。
(6)  利用開始実績日:開発が終了したシステムの利用を開始した日付を各事業部が入力する。
 入力漏れや誤った日付を入力することがないことを前提に,Mさんは各事業部と開発各課に照会画面を提供することにした。開発工程表と案件コメント表の検索だけでは,照会内容が正しく出力されない照会を,解答群の中から選ベ。
 
解答群
 開発着手が遅れ,かつ,開発が予定どおりに完了しなかった案件
 予定どおり開発が完了したのに,利用開始が予定どおりできなかった案件
 予定どおり開発に着手したが,仕様の変更が発生し,仕様の再確定に時間がかかり,開発が予定どおりに完了しなかった案件
 予定どおりに仕様が確定しなかったので,開発に着手できない案件
 

設問3の正解例と解説へ
 
設問4  Mさんは各事業部と開発各課の組織のあり方について,自分の考えを上司のCさんに話した。次の記述中の[  ]に入れる適切な字句を,解答群の中から選べ。
 
Mさん 「メインフレームを中心とし,システムの管理と開発をシステム開発部で行う我が社のような開発組織は,集権型の開発組織と呼ばれ 規模の経済性を得られることや[  g  ]が容易だと言われています。
 我が社も最近飛躍的に性能が向上したパソコンやLANを利用したエンドユーザコンピューティングなどの開発手法を取り入れた分権型の開発組織を目指すべきだと思います。」
Cさん 「君の言っている分権型の開発組織では,ユーザニーズに[  h  ]に対応しやすいというメリットもあるのだが,全社的に見ると[  i  ]な開発が増えることに注意しないといけないんだ。
 そこで,最近は両者の良い面を取り入れた連邦型という考え方も出てきたんだ。いずれにしろ,どんな開発組織でも今回のように情報をデータベース化しなければ,各事業部と開発各課のコミュニケーションについて,情報の[  j  ]が中心となるのでコストと時間がかかる。今回の社内LANによる仕組みでは,情報の[  k  ]がデータベースを中心に行われるようになり,情報開示やコミュニケーションの効率向上も期待できるのだよ。」
Mさん 「それでは開発案件に関することだけでなく,全社の情報の利用方法がデータベースを中心に行われると,ものすごい効果がでてきますね。がんばらなくっちや。」
 
gに関する解答群
ア 開発期間の短縮 イ 開発手法の標準化
ウ 開発リスクの計量化 エ 経営者の理解を得ること
オ 消費者の支持を得ること  
 
h,iに関する解答群
ア 高度 イ 慎重 ウ 迅速
エ 同様 オ 排他的 カ 複雑
 
j,kに関する解答群
ア 開発 イ 共有 ウ 検索 エ 所有 オ 伝達
 

設問4の正解例と解説へ
 
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