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初級シスアド 平成20年度春期試験 問題(午後問2)


 
問2 りん議書の作成に関する次の記述を読んで,設問1,2に答えよ。
 
 M社は金属加工メーカで,現在,製造コストの削減が課題になっている。そこで,M社の製造課では,製造現場の人件費削減と,製品の品質向上による廃棄コスト削減を目的として,工場の製造ラインに新しい機械設備(以下,新設備という)を導入する案件について検討することにした。
 図1は,新設備の導入案件に関する製造課の検討メモである。
 
図1 新設備の導入案件に関する製造課の検討メモ
検討メモ
 工場の製造ラインに新設備を導入する。
 新設備の導入に伴い,既存の製造管理システムの改修が必要になる。
 2009年1月の新製品の製造開始に合わせて,新設備を本稼働させる。
 現状では,製造現場の人件費が毎月400万円,廃棄コストが毎月200万円かかっている。
 製造現場の人件費については,新設備の導入によって.2009年1月からは現状の80%に削減できる。
 廃棄コストについては,新設備の導入によって,2009年1月からは現状の90%に,2009年7月からは現状の70%に削減できる。
 新設備の導入には,2008年に2,500万円の初期投資が必要であり,2009年からは毎年300万円の保守費用がかかる。
 新設備の導入に伴う製造管理システムの改修には,2008年に500万円の初期投資が必要である。製造管理システムの運用保守費用は従来と変わらない。
 新設備の導入作業期間として8か月,その後に試運転期間として1か月必要である。試運転期間が終了したら,新設備を本稼働させる。
 製造ライン設計の遅れによって本稼働開始が遅れたり,詳細要件の増加によって初期投資予算を超過したりするリスクがある。
 
 製造課のL君は,図1を基に新設備の導入に関するりん議書を作成するよう,上司から指示を受けた。
 

 
設問1 図2は,L君が作成中のりん議書である。図2中の[  ]に入れる適切な字句を,解答群の中から選べ。
 
図2 L君が作成中のりん議書
決定を要する事項 次に示す要件を基に,[  a  ]すること。
背景・目的 [  b  ]
案件の概要 工場の製造ラインに新設備を導入する。それに伴い,製造ラインの設計,製造管理システムの改修などの作業を実施する。
結論を導出した事由 現在の製造ラインにおいて,人件費の最も高い工程と,品質の最も低い工程が一致していることが分かった。この工程に新設備を導入することで,製造現場の人件費削減と品質向上による廃棄コスト削減を同時に実現できると判断した。
投資及び費用 投資:[  c  ]万円(2008年)
費用:年間300万円(2009年以降)
期待効果
(コスト削減効果)
2009年:[  d  ]万円
2010年以降:年間1,680万円
スケジュール [  e  ],2009年1月本稼働開始
リスクと対策
〔1〕  製造ライン設計の遅れによる本稼働開始の遅れ
仕様の早期決定と,関係者の密接な連携によってスケジュール管理を確実に実行する。
〔2〕  詳細要件の増加による初期投資予算の超過
コスト管理を徹底し,予算超過が予見された時点で再審議を行う。
NPV  
代替案との比較  
 
aに関する解答群
ア 2009年に新製品を製造 イ 工場の製造ラインに新設備を導入
ウ 製造管理システムを改修 エ 製造現場の人件費を削減
 
bに関する解答群
 2009年1月に新製品の製造開始を予定しているので,その時期に合わせて製造現場の人員を増やす。
 新設備導入後,直ちに本稼働を開始するとリスクが高いので,1か月間の試運転期間を設ける。
 製造コストの削減が課題なので,新設備を導入して製造現場の人件費と廃棄コストを削減する。
 製品の品質向上が課題なので,製造管理システムを改修して業務の改善を図る。
 
c,dに関する解答群
ア 300 イ 500 ウ 1,320 エ 1,440
オ 1,680 カ 1,920 キ 2,500 ク 3,000
 
eに関する解答群
 2008年4月〜11月導入作業,12月〜2009年1月試運転
 2008年4月〜11月導入作業,12月試運転
 2008年5月〜11月導入作業,12月試運転
 2008年5月〜12月導入作業,12月試運転
 2008年5月〜12月導入作業,2009年1月試運転
 

設問1の正解へ
 
設問2 図2の“NPV”と“代替案との比較”の欄に関する次の記述中の[  ]に入れる適切な字句を,解答群の中から選べ。
 
 M社のりん議書には,案件のNPV(Net Present Value:正味現在価値)を明記することになっている。NPVは,案件の現在の価値を表している。NPVがプラスであれば,採算のとれる案件であることを意味しており,NPVが大きいほど案件の経済的効果は大きい。一方,NPVがマイナスであれば,採算のとれない案件であることを意味している。M社のNPVの計算方法は,次のとおりである。
 
〔M社のNPVの計算方法〕
(1)  初期投資を行う当該年及び1〜5年後の各年のキャッシュフロー(各年の期待効果から各年の投資と費用を差し引いたもの)を計算する。
(2)  各年のキャッシュフローの現在価値を,割引率を使って計算する。割引率をr,N年後のキャッシュフローをCとすると,N年後のキャッシュフローの現在価値を計算する式は,C÷(1+r)Nである。M社では,割引率を5%にしている。ここで,初期投資を行う当該年は,Nを0として計算する.
(3)  各年のキャッシュフローの現在価値を合計したものが,NPVとなる。
 
 L君は図3の計算シートを作成して,新設備導入に関するNPV(以下,新設備NPVという)を計算した。
 
図3 L君が作成した新設備NPVの計算シート
 
 図3において,2012年のキャッシュフローの現在価値を求める計算式は,
        2012年のキャッシュフロー[  g  ]
である。図3から,新設備NPVは,[  h  ]万円となる。
 さらに,L君は図4に示す代替案との比較を,りん議書に記述した。
 
図4 代替案との比較
代替案との比較 代替案〔1〕:製造ラインの全面的再構築
 期待効果は年間300万円増加するが,初期投資が5,000万円増加,保守費用が年間500万円増加となる。したがって,この代替案を採択した場合のNPVは[  i  ]。
代替案〔2〕:新設備導入を伴わない製造コストの削減
 新設備導入のための初期投資及び保守費用は不要になるが,新設備を導入せずに製造コストの削減を実現するには限界がある。新設備導入の経済的効果を上回ること,すなわちこの案を採択した場合のNPVが新設備NPVを[  j  ]ことは,現実的には難しい。
 
f,hに関する解答群
ア -1,620 イ -300 ウ 1,380 エ 1,980
オ 2,746 カ 3,246 キ 5,446 ク 8,746
 
gに関する解答群
ア ×1.054   イ ×1.055   ウ ÷1.054   エ ÷1.055
 
iに関する解答群
ア 計算できない イ 新設備NPVと等しい
ウ 新設備NPVを上回る エ 新設備NPVを下回り,マイナスになる
 
jに関する解答群
ア 上回る イ 下回る
 

設問2の正解へ
 
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