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スーツ服地の研究(FOX BROTHERS FOX AIR)


 
□強撚糸を使った粗い織り目の平織り服地
自分のスーツの服地(生地)に関する好みは,10年程度の単位で変わってきたのを感じる。30代を中心とする時期は,春夏物では,強撚糸で粗い織り目の平織り服地を好んできた。
 
強撚糸で織った服地はしなやかさはないが,しわができてもすぐに消える。また強撚りでない糸で織った服地はしなやかで,皮膚に面で接するが,強撚糸はさらっとして点の集まりで皮膚に接するため,汗をかきやすい時期では感触がよい。そして,平織りはガーゼのように縦横に交差させた織り方のため,粗く織ることで隙間が広くなり通気性がよくなる。隙間が広くなると服地の強度に問題も出るが,それは太い糸を使うことでカバーでき,耐久性を高められる。
 
この強撚糸を使った粗い織り目の平織り服地は各社から発売されており,英国Martin&Son(マーチンソン)社ではフレスコ(FRESCO),英国エリソン社ではポーラ(PORAL),という商標が使われている。そのため他社の同様の服地も,フレスコタイプなどと書かれることがある。
 

 
英国の各社から発売されているフレスコタイプの服地は,ざっくりとした感触でも質感は高く,太い強撚糸を使っていて耐久性も高い。30代を中心とした,社会の階層で中堅どころに位置する年代であった自分にとって,ちょうど合う実用性の高い服地に感じた。艶のあるしなやかな服地は,年配の階層向きであり,合わないと感じていたからである。
 
その後40代に入り,イタリアの服地も経験する必要があると感じて何着かスーツを作り,その後は英国服地に回帰し,昨年の秋冬物では国産の4PLYの服地で久しぶりにざっくりした服地でスーツを作った。
 

 
□FOX BROTHERS社のFOX AIR
春夏物のスーツを作る時期に来たが,昨年の秋冬物同様にざっくりした服地にしたいという意向があり,行きつけのテーラーである銀座山形屋で提案してもらった。
 
提案してもらった服地の中で目が留まったのが,FOX BROTHERS(フォックス ブラザーズ)社のFOX AIR(フォックス エアー)というコレクションのものである。強撚糸を使った粗い織り目の平織り服地であり,1mあたり300g(285/315g)と通年用服地の上限といえる重さで耐久性も期待できる。色柄も気に入ったため,今回はこの服地でオーダーすることにした。
 
FOX BROTHERS社は,同社製品の日本での輸入元であるマルキシ株式会社のWebサイトによれば,1772年創業の英国でも老舗のミル(織物工場)である。フランネル(フラノ)を開発したことから,同社はフランネルが有名である。秋冬物のフランネル以外に,春夏向けではFOX AIR以外で,1mあたり230/260gの平織り服地であるGOLDEN FOXというコレクションがあり,それ以外に限定品も出している。
 

 
□着てみて
いつもの通り,同社のニューブリティッシュモデルでオーダーした。ただ,前回の秋冬物はシングルスーツでピークドラペルにしたが,今回は従来通りのノッチドラペルにした。ピークドラペルのシングルスーツを一度来てみたかったからであるが,一着で十分と感じたからである。
 
出来上がったスーツを着てみた。服地にしなやかさはないが,かといってゴワゴワでもない。ざっくりした風合いだが,ほのかに艶があって質感は高い。通年用スーツと思えば納得のいく重さだが,スースーして通気性は高い。30代でこういう服地が自分にとって最高だと感じたが,その頃に戻った気分になった。
 

 

 
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